セロトニンを整える暮らし②「ホルモンと暮らす ― 呼吸・リズム・ふれあいの整え習慣」
2025年05月29日 22:20
前回、「なんだかしんどい」と感じる日々の裏に
セロトニンという目に見えないホルモンの存在があることに触れました。
そして今回は、
そんなセロトニンが“どんな生活で整い、
どんな暮らしで減りやすくなるのか”について、
私の実体験を交えながらお話ししていきます。
整える力が宿っていたのは、当たり前の習慣だった
セロトニンを増やす方法を調べていく中で、
私は少し拍子抜けするような気持ちになりました。
特別なサプリでも、高価なグッズでもなかったからです。
それは、昔の人が自然にやっていた暮らしの中にあったのです。
・朝の光を浴びる
・リズムよく体を動かす
・よく噛んで食べる
・人とふれあう
どれも、かつては当たり前だったこと。
でも今では、意識しないとできないことになってしまいました。
朝の光が届かない家、座りっぱなしの生活、スマホ片手の食事、孤独な時間──
そんな現代のリズムが、
セロトニンやオキシトシンといったホルモンを減らしているのかもしれません。
減っていたのは、エネルギーではなく「整える感覚」だった
私自身、振り返ってみると
常に「何かに急かされている感覚」がありました。
時間に追われているわけではないのに、
自分の中の声が「もっとちゃんと」「もっと早く」と焦らせてくる。
とくに仕事柄、食事はいつも早食い。
呼吸も浅くなり、身体の動きもせわしなくなっていました。
でも、焦っているときほど、
セロトニンが整う“リズム”が崩れていることに気づいたのです。
いまでは、温かいものをゆっくり味わうことが、
自分を取り戻す時間になっています。
セロトニンがよろこぶ、小さな習慣たち
朝の光を浴びる
カーテンを開けるだけで、脳が「朝だ」と認識し、
体内時計が整い始めます。
実はこれが、セロトニンのスイッチになるのです。
私の部屋は朝日が入る向きですが、
外廊下の照明の影響で遮光カーテンを使わざるを得ず、朝も薄暗い状態でした。
今は「自動で開くカーテン」が気になっていて、
こうした小さな工夫が目覚め方を変えてくれる気がしています。
リズム運動を日常に
セロトニンは、一定のリズムに反応して活性化すると言われています。
たとえば:
・ゆっくり歩く
・掃除をする
・包丁のトントンという音
・そして──呼吸を意識すること
呼吸も、実は大切なリズム運動のひとつ。
でも、普段は無意識に繰り返しているものなので、
意識することってあまりありません。
だからこそ、
あえて「自分の呼吸」を感じてみることに意味があります。
瞑想や座禅のように「無になる」と言われると、
ちょっと難しく感じてしまうかもしれません。
そんなときは、
ただ「今、自分が何回息をしているか」を数えてみるだけでもいいのです。
深く吸って、ゆっくり吐いて──
それだけで、気持ちがふっとゆるむ瞬間があることに気づきました。
よく噛むことのチカラ
意外と見落とされがちなのが「噛む」という動作。
ロッテの研究では、
ガムを噛むことで脳内のセロトニンが活性化する反応が見られたそうです。
私も意識して“よく噛んで食べる”ようにしたところ、
なんとなく気持ちが落ち着く瞬間が増えてきました。
腸を整えると、心も整う?
セロトニンの多くは実は「腸」にあります。
とはいえ、感情の安定や睡眠に関わるのは脳内のセロトニン。
でも最近では、「腸と脳はつながっている」と言われ、
腸内環境を整えることが、
心の安定や自律神経バランスにもつながるとされています。
私にとっては、温かいものを、ゆっくり食べるという時間が、
腸にも心にも効いている気がしています。
人とのふれあいが難しいとき、自分でできること
セロトニンを活性化させるためには、
「オキシトシン(愛情ホルモン)」の存在も大切です。
このオキシトシンは、人との会話やスキンシップによって分泌され、
それがセロトニンの働きを助けてくれると言われています。
でも、そうしたふれあいが難しいときには、
「自分にとって心地いい感覚」を頼りにしてみてください。
・肌ざわりのいい毛布にくるまる
・お気に入りのパジャマを着る
・好きな香りのアロマを焚く
・推し活に没頭する
・心が落ち着く音楽や映像に触れる
「誰かと」ではなく、「自分がどう感じるか」。
その小さな積み重ねが、
オキシトシンをやさしく育て、結果的にセロトニンの整う土台にもつながる。
──そんな感覚が、私はありました。
また最近では、外との接点を持ちにくい子どもたちが
オンラインゲームを通じて人とやり取りしている姿をよく見かけます。
大人から見れば「ゲームばかり」と思ってしまうかもしれませんが、
そのやり取りの中には、
自分を認めてもらえる感覚やつながりによる安心感が含まれていることがあります。
それは、リアルな対面が難しいときの、
とても大切なコミュニケーションのかたち。
画面越しであっても、
セロトニンやオキシトシンがそっと育まれている時間なのかもしれません。
おわりに──がんばらずに、整えていくという選択
セロトニンが減りやすい人はいます。
でもそれは、“弱さ”ではなく“繊細さ”という強さの裏返し。
だからこそ、がんばるのではなく、
少し視点を変えて整えていくことが、大切なのだと思います。
ちょっとした生活の工夫が、
セロトニン、自律神経、オキシトシン、そして睡眠を通じて、
あなた本来の「整える力」を取り戻すきっかけになるかもしれません。
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