第2章 子どもの笑顔が消えた日――評価を気にしすぎた私の葛藤
2024年12月06日 12:04
忙しさの中で評価を気にしすぎていた私
私の日常は、ただ忙しいだけではありませんでした。
「職場の評価を下げたくない」
「周囲の期待に応えなければ」という思いから、
自分でやるべきことをどんどん増やしてしまっていたのです。
さらに、「自分で解決しなければ」という考えが強すぎて、
誰にも頼れず、一人で抱え込むことが当たり前になっていました。
そんな状況の中、ネットに頼って答えを探す日々が続きました。
膨大な情報に振り回され、気づけば心身ともに疲れ果てていました。
これは、2年間どころか、それ以上の長い年月の積み重ねでした。
中学生の子どもに起きた変化
その蓄積がピークに達した頃、子どもたちにも変化が現れ始めました。
中学生の子どもは、
「立ち眩みがする」「ご飯の量が多すぎる」と訴えるようになり、
次第に「眠れない」「朝起きられない」と苦しむようになりました。
最初は「夜更かしのせいでは?」と軽く考えていましたが、
やがてベッドから動けなくなり、学校にも行けなくなってしまいました。
学校を休む日が増え、最終的には笑顔が消えてしまったのです。
疲れ切った表情で、家族との会話も最低限。
毎朝の学校への欠席電話
すぐに終わる電話なのにかける勇気が必要だった…
出口のないトンネルの中に入り込んだようでした。
小学生の子どもに現れた不安の兆し
さらに追い打ちをかけるように、
小学生だったもう一人の子どもにも異変が起き始めました。
「お腹が痛い」「気持ち悪い」と訴えることが頻繁になり、
不安そうな顔をすることが増えました。
登校前になると「お腹が痛い」と言い、
トイレから出られなくなり、遅刻や欠席を繰り返す日々。
最終的には長期にわたり学校に行けなくなりました。
友達との交流は続いていましたが、
学校の騒音や教室での自分に関係ない会話も負担となり、
「学校はとにかく疲れる」
「考えすぎて動けなくなる」
といった言葉を頻繁に口にするように。
以前にも増して過敏性が増し、
心身の負担が顕著になっていきました。
病院での診察では、
「いわゆる敏感さん」と表現されましたが、
具体的な治療法が見つからず、
私はますます途方に暮れるばかりでした。
親としての役割と職場での責任の板挟み
中学生の子どもはベッドで過ごす日が増え、
小学生の子どもは学校に行きたくないと涙を見せる日々。
その一方で、私は職場の管理者としての立場にも責任を感じていました。
子どもを一人で家に残すことへの心配。
仕事を休むことや遅刻することへの負い目。
遅刻した分、帰宅時間が遅くなることへの罪悪感。
「どちらを優先すればいいのか」――答えが見つからず
親としての役割と職場の責任の狭間で、
自分自身が壊れていく感覚に襲われていました。
退職を申し出たこともありましたが
すぐには辞められない状況や
「社会的な役割がなくなることが怖い」という思いから、
その一歩を踏み出すまでに時間がかかりました。
家族を犠牲にしてしまったという気づき
結果的に、
私は「他者を優先する」行動を取り続けてしまいました。
その中で、唯一わがままを言える存在だった家族を犠牲にしていたのです。
中学生の子どもの笑い顔の消えた顔を見るたびに、
私は胸が締め付けられるような思いでした。
小学生の子どもが「お腹が痛い」と訴えるたびに、
「自分がもっと強ければ」と責めるばかりでした。
私が本当に守るべきだったのは、目の前にいる子どもたちの「心」だったのに――。
そんな後悔が、私の中で強く残りました。
自律神経の乱れによる症状と対処法
今振り返れば、子どもたちが示していた症状の多くは、
自律神経の乱れによるものでした。
子どもたちの主な症状
中学生の子ども: 立ち眩み、疲労感、朝起きられない、眠れない。
小学生の子ども: 腹痛、不安感、過敏性の増加、過緊張、疲労感。
医師からの提案
セロトニンを増やす食事
バナナや乳製品などのトリプトファンを含む食材を積極的に摂ること。生活リズムの調整
起床・就寝時間を一定に保ち、朝の光を浴びること。適度な運動
ストレッチや散歩など、体に負担の少ない軽い運動を取り入れること。血圧を上げる方法
水分や塩分をしっかりとること。
しかし、当時の私はその提案を実行する気力が湧きませんでした。
心身ともに限界に達していたのです。
心の余裕をなくして
いつもの私なら、病名や治療法を徹底的に調べて
最善の方法を模索していたでしょう。
けれど、この時の私は、
子どもたちの状況に対応するだけで精いっぱいで、
自分の心身の状態を見つめ直す余裕すらありませんでした。
そんな状態では、日常の些細なことさえ負担に感じ、
一つひとつの判断や行動が非効率になっていくことにすら気づけないのです。
調べすぎてさらに迷う
子どもの体調に関する情報をひたすら検索しても、答えは見つからず、ただ不安を増幅させるだけの日々。
優先順位を見失う
どれが本当に必要なことなのかが分からなくなり、目の前の課題にだけ追われる状態に。
悪循環を加速させる
疲れていると分かっていながら休むことができず、さらに状況が悪化していきました。
その頃の私は、家庭も職場もどちらも満足に守れない現実に、
ただただ疲弊していきました。
そして振り返ると、疲れ切った状態では効率的な考えや行動ができず、
むしろ自分の手で問題を複雑にしてしまっていたのだと気づきます。
心に余裕がないことで、正しい判断や適切な行動が難しくなる――
そんな悪循環が、さらに私を追い詰めていたのです。
次回予告:家族の笑顔を取り戻すための第一歩
そんな状況の中で、
「自分を見つめ直し、まずは心身を整えることが必要だ」と
気づいた瞬間が訪れます。
次回は、子どもたちの笑顔を取り戻すきっかけとなった
「ヘッドマッサージ」との出会いについてお話しします。
おわりに
ここまで読んでくださり、ありがとうございます。
この内容が、少しでもどなたかの心に寄り添うものになれば幸いです。
私自身、迷いながらの子育てで、まだ答えを探し続けている最中です。
同じような状況にある方がいらしたら、「一人じゃないんだ」と感じてもらえるだけで嬉しいです。
これからも、少しずつ経験をお伝えできればと思っています。
次回もぜひお読みいただけたら幸いです。